不眠に悩む人が増えています。
代表的な不眠の症状はだいたい次の3つと言われています。
なかなか眠れない
夜中に何度も目が覚める
目が覚めるのが早すぎる
ただ、いずれの症状であっても、不眠とは辛いものです。
しかし、そもそもなぜ我々は「眠れないこと」を悩むのでしょうか。
1. なぜ「眠れないこと」に悩むのか
寝るのが遅くなったなら、その分起きる時間を遅らせる。
寝足りないのなら、その分もっと眠る。
そうすれば寝不足になるということはないでしょう。
しかし、当たり前ですがそういう訳にもいきません。
普通の人は、眠るのが遅くなっても起きる時間は変えられませんし、
寝不足だからといって、仕事や学校を休むわけにもいきません。
そのため、多くの人が寝不足による不調を抱えたまま、日中の学業や仕事を行っています。
そして、多くの人が日中に辛さを感じています。
これが「眠れないこと」の辛さです。
つまり、 多くの場合、不眠の辛さとは寝不足のまま過ごさなければならない「日中の辛さ」であって、「眠れないこと」そのものではありません。
2. 眠っている間に行われること
眠っている間、心身では次のようなことが行われています。
栄養の吸収と体全体への補給
脳と体の休息、および老廃物の排出
記憶の整理
成長ホルモンなど各種ホルモンを分泌しバランスを整える
免疫力強化
など
特に、脳内の老廃物は、その多くが睡眠中に排出されることが分かっています。
日中の活動の結果として、脳や体内には老廃物が溜まっていきます。
その老廃物を処理するため、脳は自分と体全体に対して眠るよう指示を出します。
そのためそういった物質は睡眠物質と呼ばれます。
この睡眠物質を全て処理して排出するには眠るしかありません。
眠っている間、心身は起きている状態と全く違った生理状態にあります。
それは休息と回復のための時間であり、その時間なくして心身の回復はあり得ないのです。
その眠りが不十分な状態で次の朝を迎えると、疲れが抜けないまま日中を過ごすことになり色々と影響が出てきます。
特に、寝不足の脳への悪影響は大きいものです。
仕事には責任がつきものですが、それは判断が求められるということでもあります。
寝不足による脳の疲労は、その判断を鈍らせます。
すぐに終わるような仕事に手間取ってしまったり、つまらないミスをしてみたり。
その影響で仕事によけい時間がかかってしまいます。
そういう生活が続けば疲れはたまる一方で、健康状態にも影響が出てきます。
特に、年齢を重ねると睡眠不足が日中の活動に与えるの影響は大きくなってきます。
不眠の悩みとは、実はこういう日中の辛さがほとんどです。
逆に言えば、多少寝不足であっても日中を調子よく過ごせるなら不眠で悩むこともありません。
日中の活動に辛さを感じるがゆえに、我々は不眠に悩むわけです。
3. 不眠の解消は日中の行動から始るべき
そうであるならば、不眠の解消は日中の状態を改善することから始めるべきです。
何とかしたいのは日中の不調であって、「眠れないこと」そのものでありません。
よく眠れないからと「眠ること」そのものを目的とすると、飲酒や睡眠導入剤などの利用につながり、問題の解決にはつながりません。
酒や薬によって眠っても、それは本来の眠りとは異なり、心身の回復につながりにくいのです。
酒により眠った場合、眠りが浅く疲れがとれません。
睡眠導入剤による眠りは、睡眠というより気を失った状態に近い。
そういう眠りを続ければ、また同じ日中の不調を感じることになります。
また、酒や薬を飲まないと眠気が起こらないのであれば、それは不眠が解消したとは言えないでしょう。
逆に、日中の過ごし方を改善すれば、夜になって自然な眠気が起こってくるようになります。
日中は明瞭な意識で自分の仕事をこなし、夜は自然な眠気に誘われてしっかり眠る。
不眠の解消とはそうあるべきです。
「眠くなったので眠る」
これが、よい眠りなのです。
そのために必要なことは、日中の過ごし方を変えることです。
眠りの質は、日中の過ごし方によって決まるのです。
本来なら、特に意識的な行動は必要ないのでしょうが、現代人は多かれ少なかれ不自然な生活をしています。
不自然な生活の中で、自然な睡眠のリズムを維持しようとすれば、意識的な行動が必要となります。
では、夜になって自然な眠気が起こる日中の過ごし方とはどのようなものでしょうか。
ポイントは、昼夜のメリハリを脳と体にしっかりと感じさせること。
端的に言うと、それはセロトニンの分泌を増やすような過ごし方です。