・眠いのに眠れない
・寝てもすぐに目が覚めてしまう
・ちゃんと寝たのに眠った気がしない
そのような「眠れない」悩みはありませんか。
最近、眠りに関する悩みを持つ人はますます増えています。睡眠で十分に休養がとれていないという人の割合は年々増加しており、自分の睡眠の質に満足できていない人の割合は男女とも4割近くになるという調査結果も出ています。
(ソース:平成25年「国民健康・栄養調査」の結果(厚生労働省))
よく眠れない日が続くと疲れがたまります。疲れがたまるとイライラして、ますます眠りにくくなりますよね。
そのような不眠に関する悩みをなんとかしたいけど、薬は副作用が心配という人も多いと思います。
そのような人に、不眠症に効くバレリアンのサプリメントを紹介します。
目次
1. バレリアンとは
バレリアンとは、ハーブの一種です。オミナエシ科カノコソウ属の多年生植物で、根に含まれる成分に鎮静(気持ちを落ち着かせる)効果があることが知られており、昔から薬用植物として使われてきました。
バレリアンの薬用植物としての歴史は古く、古代ギリシャや古代ローマの医者も鎮静効果を目的に使っていました。2世紀には、ギリシャの医者ガレノスがバレリアンの鎮静効果を記しています。
ヨーロッパに伝わってもその鎮静効果から人気を博し、現在でも生薬製剤としてバレリアン成分を使った薬が不安症の改善などに使われています。
アメリカでは1990年代半ばまで一般医療に使用されていました。鎮静効果のつよい薬が出てきて医療には使われなくなりましたが、依然としてサプリメントとして人気があります。
日本でも不眠症や不安感の治療で一般的に使用されています。
2. バレリアンは不眠症に効くのか
バレリアンは、軽度の不眠症に対して効果があります。
誰にでも必ず効果があると断言はできませんが、科学的には効果がある可能性が示唆されています。
軽度の不眠症とは、仕事や家事や人間関係などからくるようなイライラや不安で、寝つきが悪くなったような状態、あるいは眠りが浅くなったような状態です。
うつ病や不安症などの精神疾患からくるような極度の不眠症に対して、バレリアンのサプリメントでは効果が弱いです。逆にいえば、その分バレリアンは安全であるとも考えられます。
バレリアンの一番の特徴は鎮静効果、つまり神経の高ぶりを抑える効果です。
人はイライラや不安を感じている時、神経の高ぶりからどうしても緊張しているような状態になってしまいます。そういう緊張した状態では、脳が眠るのをやめようとしません。
夜になって脳が準備を整えて眠る状態になっても、一方で緊張が眠る邪魔するため、「眠いのに眠れない」「疲れているのに眠れない」という状態になってしまいます。
良く眠れない日が続くと、眠れないことがストレスになりますます眠れなくなってききます。
バレリアンを摂ると、眠りを邪魔しているその緊張を和らげてくれるため、スムーズに眠りに入っていけるようになります。
また、眠っている間にも神経の高ぶりが抑えられますので眠りが浅くなることも避けられ、夜中に目が覚めることも減ります。
実際にバレリアンを摂った人の意見には、飲み続けているうちにだんだん寝つきがよくなった、夜中に目が覚めることが減ったというものが多いです。私自身、仕事で色々と考えることが多くてよく眠れない日が続いていた時期、寝る前にバレリアンを飲んだところ、すぐ起きていられないぐらい眠くなったという経験があります。
おそらく、仕事の緊張でよく眠れない日が続いて疲れが溜まっているところにバレリアンを飲み、緊張が和らいだため溜まっていた疲れで一気に眠気がきたからだと思います。横になりたいのにつっかえ棒をされてできなかったけど、そのつっかえ棒が外れたのでパタンとすぐ横になれたという感じでしょうか。
このように、バレリアンは日常生活での不安やイライラが原因の不眠症に対して効果があります。
3. なぜバレリアンに鎮静効果があるのか
バレリアンの成分が鎮静効果をもたらす理由として、バレリアンの成分に含まれるバレレン酸という物質が中枢神経の主要な抑制性神経伝達物質であるγアミノ酸(GABA)の受容体GABA-Aと結びつくことにより神経の興奮が抑えられるためと考えられます。
ただし、バレリアンの成分は化学的な成分を調合して作られる薬ではないため、バレリアンが鎮静効果をもたらすメカニズムについてはまだ未知の部分も多いです。
おそらく、バレリアンの複数の成分が相乗的に効いて鎮静効果を生み出しているのだと考えられます。
ただし、正確な理由がまだはっきりとしてないとはいえ、バレリアンの薬用植物としての長い歴史がその鎮静効果を証明しています。これは漢方薬と同じようなことだと思います。
漢方薬もその全ての成分の働きが化学的に分析されているわけではありません。経験則から諸々の症状に効果がある薬草の組み合わせを処方するわけです。不眠症に対してバレリアンが使われるのも同じ形だと思います。
4. バレリアンの使用方法
バレリアンのサプリメントは「健康食品」であり、「医薬品」ではありません。
そのため、薬のような明確な用量用法は決まっていません。
ただし、次のような目安はあります。
・1日の摂取量の目安は300mg~400mg
・1日あたりの最大の摂取量は900mg
・400~900mgのバレリアンエキスを寝る前の30分から2時間前に摂取すること
・効果が表れるまで2週間は必要
・6週間続けて服用したら1週間は開けるべき
ここで、300mgとか400mgというのはバレリアンエキスの含有量です。市販されているサプリメントはカプセルタイプのものが多いですが、カプセル1粒あたりのバレリアンエキスの含有量が極端に多いものは避けた方がいいでしょう。何粒かを飲みながら自分に効果のある量を確かめて使用すれば良いと思います。
5. バレリアンに副作用や問題点はないか
バレリアンに副作用の心配はほとんどありません。
1日あたりの摂取量が最大900mgを超えなければ、1ヶ月程度の服用での副作用の心配はありません。
12000人以上を対象とした臨床研究により、28日間までの医療用としての使用の安全性が報告されています。
(引用 : 健康食品・サプリメント[成分]のすべて 2017 ナチュラルメディシン・データベース)
ただ、まれに多量のバレリアンを摂取した翌朝頭がぼんやりすことはあるそうです。
バレリアンのサプリメントに対する批判的な意見の中で一番多いのは「効き目がなかった」というものです。
不眠症の改善を期待していたのに、その効果がなかったわけですから批判が出るのは当然ですが、逆にいえばそれだけ安全なサプリメントであると言えます。
ただし、肝臓に問題のある人がバレリアンを使用するのは避けるべきです。
バレリアンの成分は肝臓で代謝されるため肝臓の負荷が増します。そのためもともと肝臓に問題がある人がバレリアンを摂取すると、状態を悪化させるおそれがあります。
また、妊娠中や授乳期の使用に関しては安全性のデータが不十分です。この時期の使用は避けた方が良いです。
また、バレリアンは一時的に中枢神経の働きを抑制します。そのため、車の運転をする前などの服用は避けるべきです。
6. 他のサプリメントや薬との飲み合わせについて
バレリアンを他のサプリメントや薬との飲み合わせる場合には注意が必要です。
バレリアンは一時的に中枢神経の働きを抑制します。
そのため、同じく中枢神経の働きを抑制する鎮静薬と飲み合わせると過度の眠気を引き起こすおそれがあります。中枢神経抑制系の鎮静薬であれば、バルビツール酸系・ベンゾジアゼピン系ともに飲み合わせは避けるべきです。
先にも書きましたがバレリアンの成分は肝臓で代謝されるため肝臓の負荷が増します。肝臓で代謝される薬と飲み合わせると、その薬の作用や副作用が強くなるおそれがあります。
そのため、肝臓で代謝される薬との飲み合わせも避けるべきです。
アルコールと一緒にバレリアンを摂取すると過剰な眠気を引き起こすおそれがあります。
お酒を飲んだあとにバレリアンを飲むのは避けた方がよいです。
鎮静効果や睡眠導入効果を持つ他のサプリメントと飲み合わせると、過度の眠気を引き起こされる人もいます。代表的なものでは ホッブ、カバ、L-トリプトファン、メラトニン、セントジョーンズワート などです。
これらのサプリメントとの飲み合わせも避けた方がよいでしょう。
7. まとめ
バレリアンには不眠症に対して睡眠薬や睡眠導入剤のような即効性はありません。
しかし、様々な臨床研究から不眠症の改善に効果があることを示す科学的な証拠が得られています。
また鎮静薬や睡眠薬と違い、バレリアンにはほとんど副作用の心配がありません。
薬と比べて効果が表れるまでに時間はかかりますが、不眠症の改善のためにまずバレリアンのサプリメントを試してみてはいかがでしょうか。