「不眠」で悩む人が増えています。
2018年現在では、およそ社会人の5人に1人は「不眠」の悩み持っているという調査結果があります。
しかも、その数は増加傾向にあるそうです。
なぜ、これほど多くの人が「不眠」に悩んでいるのでしょう。
目次
1. 眠りを妨げるもの
現代には、健やかな眠りを妨げる要因がいくつもあります。
その中でも、特に大きな要因は次の2つでしょう。
- スマートフォンやタブレット端末などからの光
スマートフォンやタブレットの画面からでる光はブルーライトを含んでいます。
ブルーライトは眠気の訪れを強力に抑止します。
しかも、夜間に至近距離から目に飛び込んでくる光はブルーライトの有無に関わらず睡眠の妨げになります。
- 仕事や人間関係などのストレス、漠然とした不安
また、日中に仕事や人間関係でストレスを感じている人も多いでしょう。
さらに、現代は不安を煽るような情報が氾濫しています。
商品やサービスを売り込むために「このままで良いのだろうか?」といった不安を掻き立てるような情報があらゆるメディアで流れています。
私達は、そういった情報に接しながら、漠然とした不安を抱えたまま暮らしています。
こういった不安もまた安らかな眠りを邪魔します。
また、仕事の都合でなかなか十分な睡眠時間がとれないという人も少なからずいるでしょう。
こういった色んな理由で、私たちの睡眠の質はどんどん悪くなっていく一方です。
「夜なかなか寝付けない」
「ちゃんと寝たのに寝た気がしない」
そういった悩みを持つ人は多いのではないでしょうか。
しかし、寝不足に悩んでいるなら、対策を打てばよい話です。
寝つきが悪いなら、早く寝るようにする。
眠りが浅いなら、しっかり眠れるようにする。
そういった対応をすればよいだけの話です。
しかしながら、やはり「不眠」に悩む人は増え続けています。
それはなぜでしょうか。
2.「眠る」とは行動ではない
不眠に悩む人が増えている単純な理由。
それは、「眠る」ということが「行動」ではないからです。
人は何か問題がある場合、行動して解決しようとします。
喉が渇いたから、水を飲む
部屋が暗いから、明かりをつける
雨が降っているから、傘をさす
という具合です。
同じように、「眠る」ということについても
眠くなったから、眠る
という風に表現できるため、なんとなく「行動」のように感じています。
しかし、「眠る」ということと「行動」には大きな違いがあります。
「行動」とは必要がなくても意識的に行えます。
喉が渇いてなくても、水を飲む
部屋が暗くなくても、明かりをつける
雨が降っていなくても、傘をさす
こういったことは可能です。
しかし、
眠くなくても、眠る
ということができないことはみんなさんご存知の通りです。
つまり、「眠る」とは「行動」ではないのです。
もちろん、眠っている間に体内で行われていることを考えれば、睡眠とは立派な「活動」と呼べることが分かります。
しかし、それは意識的に行える「行動」ではありません。
むしろ、その意識の活動水準がぐっと下がる状態が「眠る」ということになります。
もし、「眠る」ことが意識的な「行動」であるならば、それを行わないことも可能のはずです。
眠ってはいけない場面で眠ってしまうということもなくなるでしょう。
しかし、眠りはこちらの都合とは無関係に訪れ、時に我々を困らせます。
このように「眠る」ということは「行動」ではありません。
3. 人は行動で直接問題を解決しようとする
先に述べたように、人は行動で問題を解決しようとします。
喉が渇いたから、水を飲む
部屋が暗いから、明かりをつける
雨が降っているから、傘をさす
このように、人は行動を起こして直接問題を解決しようとします。
「眠れない」という問題についても同じように、直接その問題を解決できる方法・行動を求めてしまいます。
つまり、すぐに意図的に眠れる方法を探してしまいます。
しかし、
寝不足だから、眠る
寝る時間だから、眠る
という具合に行動しようとしても、うまくいかない人が多いのはご存知の通りです。
単純な話で、人間は眠くならないと眠れないものです。
人は、眠くなって眠るのです。
夜眠るべき時間になっても、その時眠くならなければ、眠ることができません。
しかし、人は「眠る時間だから」「寝なければいけないから」という理由で眠ろうとします。
4. 望む形の答えではない
「眠る」ということは行動ではなく、条件が満たされて起こる生理現象であり、脳と体の状態の変化です。
意識的に「眠る」という行動は成り立たちません。
では、行動が得意な我々がよく眠るためにはどうすればよいのでしょうか。
それは、望む時間に眠気が起こるように、その前の時間に必要な行動をとることです。
つまり、夜寝る時間になって速やかに眠るためには、日中の行動が重要となるわけです。
実は、こういった情報はよく知られているものです。
朝、目が覚めたらすぐに陽の光を浴びる
長い時間の昼寝はしない
夕方以降のコーヒーはなるべく控える
など。
しかし、それは我々が望む形の答えとなっていません。
我々は、知らず知らず、問題を直接解決する方法・行動を知りたがっています。
望むその時にすぐ眠れるようにする方法・行動を求めているのです。
その形に合わない答えは、答えとして受け取れないのです。
夜になってよく眠るためには、昼にしかるべき行動をとる必要があるのですが、
問題を直接解決する行動を求めている我々には、その重要性が腑に落ちません。
そのため、不眠を解消するための答えが目の前にあるのに、多くの人はその解決策を行動に移すことがありません。
これが、不眠に悩む人が多い原因だと思います。
5. まとめ
現代は眠りを妨げるものの多い時代です。
多くの人が不眠に悩んでいます。
人は、問題がある場合、何かしらの行動を起こし、直接その問題を解決しようとします。
不眠に悩む人も同じように、問題を解決しようとします。
しかし、「眠る」ということは意識的に行える「行動」ではありません。
眠くもないのに眠るということはできないのです。
それができれば、不眠に悩む人はいなくなります。
望む時間に速やかに眠るためには、その時間になって眠気が起こるよう日中を過ごす必要があります。
しかし、夜眠るために昼間に行動するという形は、我々が知らず知らずに求めている直接的な解決の形ではないため、
よく眠るための方法・行動を知識として知っても、多くの人はそれを行動に移そうという気になりません。
不眠に悩む人が増える理由はこういうことだと思います。
睡眠とは、条件が満たされれば自然と起こってくる生理現象です。
その条件を満たされることを意識して日中に必要な行動をとれば、不眠の悩みは解決できるものなのです。